参考:映画評論家淀川長治氏のコメント
(1998年1月10日朝日新聞朝刊より)


75点の出来。超大作というので大事を取り、ロマンを入れたのが邪魔。タイタニックを徹底的に描いて欲しかった。この豪華船は、図書館や遊技場、床屋などグランドホテル以上の施設を備えた一つの社会だった。それが沈むびっくり仰天を出すべきだ。

1958年の「SOSタイタニック」の表現の方が上手だった。デッキで大勢が優雅に遊んでいる時に、ゴツンと音がし、氷のかけらが飛んでくる。みんなが笑い、氷をくだいてシャンパンに入れ乾杯する。豪華な世界に浸り、自然をなめきった様子を表現した優れた場面だった。

それに比べて演出が下手で細かい感覚に欠ける。大掛りだが、製作費が絶えず頭にあり、ヒヤヒヤしながら撮っている感じがする。レオ、ケイトの主演で興行保障を狙ったのは、僕としては気に入らない。

唯一、最高点をあげたいのは出港のシーン。静かな音楽を奏で、セピア色の映像でニュースみたいに見せた。あの品の良さに救われている。