E T H E R N E T  C O N N E C T I O N


愛と哀しみのイーサネット





NIE(Newton Internet Enabler)2.0でサポートされたEthernet接続。シリアル接続を遥かに超える転送スピードは実に魅力的。しかし、そこにはそれなりのリスクも…

MPユーザーでもあまり体験者のいないEthernet接続、その光と影に迫ります(いやはや…)。








■イーサネットカード■

世の中に数あるネットワークカードの中で、唯一Newton用のセットアップを付けて販売されているのがFarallon製のカード。当然今回使ったのもそのFarallonのカードです。カードはコネクタ部の形状によって、10Base-Tオンリーのものと、10Base-T,10Base-2兼用のものの2種類がありますが、一般には10Base-T専用のPN595-TPで問題ないでしょう。専用のケーブルはカードから1.5m程の長さで直接HUBに接続して使う様なものが付いています。ケーブルの太さは一般のLANケーブルに比べるとかなり細く、丁度純正9WACアダプタのケーブルと同じ位です。

■パッケージの中味■

パッケージの中には、レジストレーションカード、マニュアル、カード本体と専用の接続ケーブル、それに2枚のFPD(MacフォーマットのPowerBook・Newton用、WinフォーマットのNewtonセットアップファイル)が入っています。マニュアルは一応ワールドワイド対応になっており、セットアップの最初の部分には日本語の簡単な説明が書かれています(なぜか説明が長くなる途中からは、英語だけの説明になるが…)。

■セットアップ■

セットアップ自体はマニュアルの要所に挿入されたハードコピーを参照しながら行えば、特に難しい事はありません。NIE2.0の"Newton Devices.pkg"、"NIE Ethernet Support.pkg"(これは製品に添付されていないのでNLKのCD-ROMからコピーするなり、Appleのサイトからダウンロードする(10/27/98で終了)なりしてセットアップします)とカード添付のセットアップファイルをNewtonにインストールすると、"Prefs"の"AppleTalk"や"Internet Setup"での接続方法でEthernetを選べる様になります。

セットアップファイルはメモリカードにインストールする事も可能ですが、その場合、本体をリスタートするたびにカードを抜き差しして認識しなおす必要があります。

■LAN経由でのインターネット接続■

ダイヤルアップルータを使ってISDNによるインターネット接続を行っている環境であれば、NewtonをLANにつないで、インターネットに接続させる事ができます。セットアップ完了後、"Internet Setup"で新規セットアップを経由先を"Ethernet"にして作成します。アドレスの取得をDHCPサーバ経由に設定しておけば、普通のパソコンと同様、ダイヤルアップルータからインターネットに接続できます。

■LAN経由でのバックアップ■

コネクション・ユーティリティ(NCU)を使ってのバックアップもLAN経由で行えます。NCUの"Preferences"で接続を"AppleTalk"に変えるだけです。

実際の使用状況
コネクタ部がコンパクトなので、そんなにゴツい感じはありません。ちゃんとLEDも装備しているので、動作状態が確認できます。

■インプレッション■

とにかくデータ転送スピードの早さはさすがEthernet。イライラするほど長いNCUによるバックアップもシリアル接続の1/3程度の時間に短縮できますし、i-mailによるメール送受信も高速で、ネゴシエーションも早く、シャキシャキとメールをやりとりできます。

■Ethernet接続のダークサイド■

高速転送による快適な通信環境と裏腹に、インターネット環境に加えてEthernet環境までをMPにインストールしなければならないため、NLKにHeapの大半を消費している日本語環境では、Heapの不足による不安定さを抱え込むことになります。取り敢えずカードのバックアップや日常的な短文のメールを送受信している分には良いのですが、メールマガジンやメーリングリストの受信の様な、元々Newtonのスペックぎりぎりの処で動かしている処理は、てきめんに不安定度が高まります。

私の場合はお馴染の"MacWIRE"を受信中にi-mailがHeap不足でエラーを起こし、受信中のメールをLost。同時に受信したメールも開けなくなり、リスタートを繰り返すと遂にはカードが飛んじゃいました(いやはや…)。…っと言う訳でその後数日ブルーな気分だったのは言うまでもありません。

NLK環境では内蔵メモリに辞書をインストールせず、メモリカードにラージ辞書をインストールする事で、Heapを確保する荒業もある様なのですが、ちょっとイレギュラーな使い方なので、私もチャレンジした事はありません。ただ普通にNLKをインストールした環境だと、ネットワークやEthernet関連のエクステンションをつめていくと、内蔵メモリの残りが100Kを切ってしまいますので、こんな荒業も考えなければならないかも知れませんね(この件については未確認のため、動作保障はできかねますが…)。

と言う訳で、結局現在はEthernet環境は外しています。個人的にはEthernetを使うなら、フリーの日本語環境ソフトを検討した方がいいかも知れないなと考えたりしているのですが…