Newton Connection Utilities によるバックアップとリストア



「ハードディスク・ベースのシステムじゃないから…」なんてタカをくくってると泣きをみるのがバックアップ。HDも飛べばメモリカードだって飛ぶ!(いやはや…)転ばぬ先のバックアップ…でもこんなん出ましたけど。





結構よく分からないのがNewtonのバックアップとリストア。PC用のOSとは全く異なるアーキテクチャーが災いしてか、Newton OSの構造ってホントよく見えません。それに、バックアップ中に時折起きる原因不明の接続強制解除(!)。そんな時どんな解決法があるのでしょうか?ここでは少ないながら、私の体験をご披露しましよう。

■メモリカードが飛ぶ時…■

Newton OSは"Heap"と呼ばれるOSやアプレット動作用のメモリ域が不足すると、動作が不安定になります。これはPC用のOSでも同様ですが、メモリを拡張することが出来ないNewton(交換できるメモリカードはPCのハードディスクに当ります)は、少ないメモリをやりくりしながら動作しているために、この辺りの影響がより大きくなってしまいます。それはほとんど暴走に近く、ハングアップは序の口で、電源が落ちる、いきなりリスタートする、ぐずる、すねる、泣きわめく(いやはや…)、とにかく全く思わぬ動きをしてしまう訳です。

それでも一般のアプレットによるエラーは、裏のリセットボタンを押してやればあらかた解決しますし、殆どの場合データも無事なのですが、時にはメモリカードを認識しなくなってしまう事があります。いわゆる「飛ぶ」という状態。メモリカードのデータが破壊されてしまった状態です。

こうなるとハードディスクの場合と同様、メモリカードをフォーマットして、再度アプレットやデータをインストールしてやらなければなりません。…っという訳で既に用意のバックアップから情報を復元する事になるわけですが…

■ NCUのなぞ ■

Newtonのデータバックアップ、リストアは御存知NCU(Newton Connection Utilities)を使って行います。

おなじみのインターフェースですね。普通はインストール・パッケージ、バックアップ、リストア位しか使いませんが、その他にもNotesの内容をWordでおなじみのリッチテキスト(RTF)形式で書き出すExportや、NewtonWorksとの連携処理など、そこそこの機能を持っています。ただ日本語版Newtonとの間では、殆どうまく動かないのですけど…

Newton OS2.0ではNewton Backup Utility (NBU)やXport日本語版などを使ってデータのやり取りができましたが、OS2.1ではNCUを使うことになります。Newtonのコネクション・ツールは先代のNBUの頃から不可解な点が多く、「内蔵メモリのバックアップをカードに取っているとバックアップできない」「2回目以降のバックアップでパッケージをバックアップするとうまくバックアップできない」等の事例がありますが、このNCUでもNLKがらみの問題か、英語版では問題ないシステムのリストアがうまく行かない場合があります。NLKがイレギュラーな不可視属性ファイルになっている事と関係があるのかも知れませんが、システムに関しては飛んだら再インストールと割り切って、アプレットやユーティリティーの媒体、データをひとまとめにして管理しておいた方が現実的かも知れません。

■ どこまでできる?バックアップとリストア ■

バックアップはどちらの記憶媒体(内蔵メモリかカードか)から何を取るかが指定できますが、個別にバックアップしてもバックアップ時間の節約以上の意味はないでしょう。PC側では一応世代管理されており、一世代前のバックアップが"Previous Backups"フォルダに保管されます。

バックアップが正常に完了すると、こんなアイコンのファイルがPC側に作成されます。オーナー名の付いた内蔵メモリのバックアップと、一緒にバックアップを行ったメモリカードのバックアップ・ファイルです。つまり内蔵メモリとメモリカードを一緒にバックアップすると、PC側では最低2つのバックアップ・ファイルが生成される訳ですね。

ちなみに、バックアップ中はtempxxxxという名前の一時的なファイルが作成され、処理が完了した時点で正式なファイルになります。バックアップを途中でキャンセルしたり、接続が強制解除されたりすると、この一時ファイルは原則的に削除されてしまいます。

また、内蔵メモリ側のバックアップにはインストールされているアプレットの情報が含まれている様で、カード全体をリストアする様な場合、バックアップをとった時点からアプレットをインストールするなどシステムの環境が変化していると、メモリカード側のリストアだけでは正常に動作しない事(パッケージ読込中に止まってしまう等)があります。その場合は内蔵メモリのリストアも行うと状況が改善しますが、私の経験ではNLKのゴシックフォントがリストアされず、あとから個別でインストールする必要がありました。

リストア時にも選択画面が表示されます。パッケージに関しても個別に復元できる様なのですが、御覧の様に不可視属性らしいファイルもあり、ちょっとリスキー。現実的にはDates、Names、Notes辺りの個別復元用だと思った方がいい様です。Dates、Names、Notesといったファイルは上書きで復元されるので、元のデータは消えてしまいます。

この個別リストアの機能を使って別のNewtonに情報をコピーすることもできます。Notesの場合、コピー先のNewton上でコピー元と同名のフォルダを作っておけば、コピーされた内容はちゃんとフォルダに分類されて格納されます。

コピー先にNotesのオリジナルフォーム(たとえば無地やメール、方眼等)がない場合、当然内容は表示できませんが、後から必要なフォームをインストールしてやれば、ちゃんと内容は表示できます。

■ バックアップ中の強制接続解除 ■

データのバックアップ中に接続が強制解除され、Newtonが「あなたのコンピュータが接続を切っちゃったんです(筆者注:当然、超意訳です)」とふざけたメッセージを表示してバックアップに失敗してしまう場合があります。この場合、Newton側のファイルに問題がある事が多く、特に大部分はNotesにある容量の大きなノートが原因になっている様です。問題となっているファイルの特定は、接続が解除された時にどのファイルをバックアップしていたのか?Newton側のダイアログボックスに表示されていたファイル名を元に行います。

ファイルを特定したら、まずそのファイルを除いて再度バックアップを行い、他に問題がないか確認します。それで問題がなければ、あとは問題のあるファイルの中味という事になるのですが…

内容の確認が困難なファイルであれば、そのファイルについてはバックアップをあきらめるしかありません。ただ、Notesの様に内容を確認できるファイルの場合、少し手間はかかりますが、問題のありそうなノートを内蔵メモリや別のメモリカードに移動させながらバックアップをためす事で絞り込んでゆく事ができます。傾向としては前述の様に、やはりサイズの大きなノートが原因になっている事が多く、私の経験ではメールマガジンの受信ノートが原因だった事があります。


とにかくこの辺りをおさえておけば、バックアップ、リストアで最低限のデータは確保できます。後は頻繁なバックアップしか保障の途はない訳なのですが…