そこは東銀座の交差点を見下ろすレストランでした…


窓からは交差点を行き交う自動車や人々の姿が良く見えて、私はその店でパテの様なハンバーグを食べたり、なぜか真ん中に穴の空いた氷の浮かんだアイスコーヒーを飲んだりしながらも、その景色を見るのが好きでした。


しばらくするとその店はなくなってしまい、ふしぎな物を売るお店になりました。
緑色をした、ちょっとずんぐりした手帳の様なものが、誇らしげにお店に飾られています。


ガラス張りの画面のついた緑色の手帳…
なんだか電子手帳の様でもあります。ガラスの表面にペンで落書きができます。
とにかく緑色をしたふしぎな物体なのです。


面白がってさんざ落書きをした画面を消そうとすると、画面の文字はくしゃくしゃになって、あらわれたごみ箱に放り込まれてしまいました。


その時はじめて、私は緑色の手帳…Newtonに触れました。


そのふしぎな手帳を売るお店は、しばらくして新宿に引っ越していきました。
あの、交差点を見下ろすお店は、今でも空き家のままです。
お店で売っていた、ふしぎな手帳は…


今では私のそばにも置かれています…