今頃になってリュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」をLDで観ました(いやはや…)。ハリウッドに限らず、最近の未来世界モノって、リドリー先生の影響を今だに引きずって(テレ東系で放送中の某アニメなんか平気で「スピナー」とか言ってるし(いやはや…))、救い様のない終末的な世界として描かれる事が多い【それはもう、未来都市の描写に関しては、1984年でヴィジュアル的進化が停まってしまったかの様です】んですが、さすがにその辺りの「悪しき影響」に毒されていない、フランス人ベッソンの手にかかると、どこかコミカルな活気ある世界として描き出されてます。エアカーがまるで巨大水槽の回遊魚の様に行き交い、そびえ立つ摩天楼の壁をSLの様なエレベーターが爆走するエネルギッシュな未来世界は、まさに「メトロポリス」の再現です。

 特撮は、かのデジタルドメインが担当してますが、今回はILMで長くミニチュア・メーカーを務め、バーホ−ベンの「トータルリコール」で特撮映像全般に活躍の場を広げたマーク・ステットソンがスーパーバイザーを務めている事もあって、ミニチュアが生き生きと描かれていて嬉しい仕上りです。ちょっとトイ的なエアカーも、何だか懐かしのパルプマガジン調です。

 大挙登場するクリーチャー達も久々の「スターウォーズ」的ノリ。そんな中でも一番のお気に入りが作品冒頭に登場する宇宙の番人、モンドシャワン人です。全身が金管楽器の様に光り輝く威厳あるスタイリングが仲々の出来。東宝のモゲラにも共通する「有無を言わせぬ力」を感じさせるデザインですね。古代遺跡に出現する辺りも、いかにもな雰囲気で、個人的には結構お気に入り。映画の中での扱いからすると、この無骨な外装は彼等の宇宙服みたいなんですが、果たして…

モンドシャワン人
「フィフス・エレメント」の中でも最も印象的なクリーチャーが作品冒頭に登場するこのモンドシャワン人。ダースベーダーみたいなお顔に似合わず、宇宙の秩序を守る正義の宇宙人なのだ。

着ぐるみは全身ブラスの様な金属的な光沢が素敵。まんまるっちいデザインラインながら、肩の辺りにはいかつい突起。宇宙船から群をなして降りてくるシーンはまるで「ダーククリスタル」のガーシムの様なカッコよさです。デザイン的にも良く練られていて、どの方向から見てもちゃんと絵になる様なフォルムをしています。