The Digital Realism
〜コンピューター・グラフィックスが描く仮想現実〜


「ジュラシックパーク」以降、ますますその表現力が加速した感のあるコンピューター・グラフィックス。その表現は、もはや実写映像との合成さえ、全く不自然さを感じさせないクオリティで可能にしています。そんなCGテクノロジーの現状を象徴する様な1本のCMを見つけました。


今回ご紹介するのは宇部興産の企業CM。マスコットのUBE DOG君が活躍するシリーズの第2弾です。前作はオールCGでコミカルなUBE DOG君を紹介するものでしたが、何と今回は屋外での実写合成にチャレンジ。最新のCG技術で、驚く程自然な画面を創り出しています。


そんな訳で今回は、このCM全カット一挙掲載の暴挙!最新技術の創り出す映像マジック、じっくりとご鑑賞あれ!

アウト・フォーカスの画面。屋外の様です。と、画面を横切る物影。

アウト・フォーカスの画面の中でCGが動く!技術的には可能でも、実際みるとハッとするシーン。自然です。

徐々にフォーカスが合い、ズームアウトしてゆく画面。段々はっきりしてきます。すっかり落葉した並木道を、蝶を追いかけて走るUBE DOG。

蝶に追い付き立ち止まるUBE DOGの背後から、子供達が走って来ます。

ワンカットでズーミング、フォーカシングとCGの動きをシンクロさせる凄まじいカット!CGっぽいUBE DOGのキャラクターが、逆に画面の現実感を際立たせます。

蝶に向ってジャンプするUBE DOG。

ジャンプする直前に「タメ」を付ける、UBE DOGの自然な動きに注目!

ここでカットが変わって、画面はUBE DOG君のアップに。首を振るUBE DOG。

背中がゆっくりと開くと…

ここではカメラがゆっくり横に移動。手がかかってます。

中には人工血管。

目には…

此処でもカメラはゆっくりと降りて行き…

IC用耐熱フィルムが…

そして足には…

もちろんこのカットでもカメラは動きます。

宇宙産業用構造材が。
…と、自慢気なUBE DOGの鼻にさっきの蝶が。

ヘックション!!

今迄のイメージ台無し…(いやはや…)

ブレを表すモーション・ブラーで自然な動きが!

女の子がUBE DOGを呼んでます。
周囲に集まってくる子供達。

みんなに囲まれて嬉しそうなUBE DOG君。

もう恐いものなしの合成。右側の子が近付くと、ちゃんとUBE DOGに影が落ちる芸の細かさ!

めでたしめでたし。

とにかく自由に動くカメラに、CGがピッタリ付いて来てるのが驚異的。パン、ティルト、ズーム、フォーカス…ここまで多彩なカメラの動きは、CG合成でも珍しいでしょう。UBE DOG君のモデリング自体は、第1作目でも使用された、いかにもCGって雰囲気ですが、それが実写の中で見せる自然な動き!逆に現実感を際立たせています。