■「ID4」観ちゃった   〜「インデペンデンス・デイ」特撮雑感 〜


遅ればせながら「インデペンデンス・デイ」、観て来ました。しっかし、せっかくタイミング外して平日日中にしたのに、何で立ち見なんだぁ!もうとんでもないです。特撮のページやってるくせに、実は私、最近あんまり映画館に行ってないんですよ、恥ずかしながら。最近だと「ガメラ」はLD、平成ゴジラに至ってはテレビでやるのを待つっていう情けなさ。特撮ファンの風上にも置けませんね。

で、「インデペンデンス・デイ(以下ID4)」。荒唐無稽でかなりご都合主義的だけど、そんなん構わず力まかせにひねり倒しちゃうアメリカンなストーリーとか、映画全体の感想とかは、多分、あっちこっちのページでも紹介されるでしょうし、ID4のホームページも開設されてますんでそちらを観て頂くとして(いやはや…)、ここではID4の特撮部分に絞って"おおしま"の雑感を書かせて頂きましょう。

この映画の特撮を一言で言えば「温故知新」かなぁ?「古きを訪ねて新しきを知る」って、アレですね。アメリカ映画を代表するILMやボスフィルム、ドリームクエストなんかの特撮のカラーとはちょっと違いますね。使ってるテクノロジーについては、そんなに違わないと思うんですが、コンピューターでのデジタル合成やCGを最重要視する最近のILM等の流れと比較すると、もっとフィジカルな効果に重点を置いた、円谷英二氏やデレク・メディングス氏(残念ながら、近年亡くなられた様です)のテイストに近い映像ですね。例えば、「ジェダイの復讐」でのデス・スター爆発のシーンなんか、巨大な炎を噴き上げて爆発するデス・スターの映像は確かに良く出来てるんですけど、ちょっと優等生的っていうか、うまくまとまり過ぎちゃって炎があんまり熱そうにみえない印象があります。対してこの映画だと、炎が演技するんですね。これは実際にそこで燃えてる炎だからできる事。エメリッヒ監督があっちこっちのインタビューで、「爆破のリアルな効果は模型を使った方が出ると信じている」って応えてますけど、適材適所を見抜いた効果の使い方が、この映画の特撮の基本スタンスでしょうね。

特撮の見所としては、やっぱり巨大なUFOに攻撃されるニューヨーク、ワシントン等の都市破壊シーンとクライマックスの大空中戦でしょう。都市破壊のシーン、ミニチュアの爆発を中心に、炎が大きくなったところは更にデジタル合成で炎を重ねて巨大な炎を演出してる様です。作られてるミニチュアは、上のメイキングに映ってるホワイトハウスの模型から見て、意外に小さい(この感じからすると、エンパイヤステートビルも3メートル位の模型じゃないかな?)みたいですが、「怪獣大戦争」の頃、円谷英二氏が拘ってた「破片飛び散り爆発」みたいに、爆発の瞬間、バッと一斉に無数の微細な破片が周囲に飛び散って、これがスケール感を錯覚させる効果を上げるみたいです。炎に包まれるニューヨークの街は、まるで「世界大戦争」。コレ観ながら私、改めて円谷英二氏の偉業を感じちゃいました。

96.12.14補足:東京では本日午後1時から、テレビ朝日系で本作品のメイキングが放送されました。これによると、爆破されるビルの模型は1/12〜1/24位の縮尺で、何と石膏の型抜きで作られているとの事。これまた日本特撮のお家芸ですね。エンパイヤステートビルは大体予想通りの大きさでしたね。

大空中戦は、「スターウォーズ」も成し得なかった超多重合成のイリュージョン!凄まじい数の戦闘機と異星人のUFOが、目が回りそうなバトルを繰り広げます。この辺りは従来の光学合成じゃ、画質が劣化しちゃって二目と観られない絵になってたでしょうけど、デジタル合成の威力ですね。しかし、このシーンは合成もそうですけど、合成用の素材を作るのが、死にそうに大変だったんじゃないかな?1画面の中で10セット位のバトルが同時進行してて、各バトル4種類とか5種類の合成素材が必要でしょうから、もう気が狂いそうです。これだけの合成をやって、全体として破綻してないのは凄い構成力です。この映画の戦闘機は、殆ど模型をスタジオでモーション・コントロールとかワイヤーワーク(!)で撮影したそうですが、空気感とか、光線の具合とか、実に自然でまるで本物です。

96.12.14補足:空中戦のシーンは戦闘機やUFOをCGで作成しているそうです。最近「ウルトラマンティガ」でもガッツウィングがCGで作られて曲芸飛行してますけど、アレをもっとパワーのあるマシンで大規模にやったみたいです。従って、上で述べてる模型による撮影は使用比率低いんじゃないかな(いやはや…)。

この映画の特撮スタッフって、かなり審美眼的なセンスがいいと思います。特撮って絵画とか音楽とかに近い「実に審美的な作業」で、使ってる技術がどうこういっても、最終的に良い絵になるかどうかって、スタッフのセンスが総てですからね。取り敢えずお金出しても観る価値はある作品です。頭空っぽにして勧善懲悪、アメリカン・ナルシズムとヒロイズムの世界に存分に浸って下さい。あんまり理屈を考えないで楽しむ、そういう見方が正しい作品だと思います。